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その日も、時間が経つのは早かった。
夕刻。夕焼けに包まれる見慣れたレッドキングダムの街並み。
事実上、チーム対抗戦を前にした最後の日。
明日は領土の移動が行われるため、敵陣を目の前にしたら慌ただしい1日になるはず。
時間的にも目一杯まで教えてくれたシンバさんへ、俺達はお礼を述べた。
「ありがとうございました」
明日から大きな戦いが控えているにも関わらず、シンバさんは張り詰めた様子はなくこれまでと変わらなかった。
「チーム対抗戦が始まったら、お前達は女性や子供を守ってくれると助かる」
夕焼け。まもなく陽が沈むという中、シンバさんは、リリルさんらと同じことを言った。
「お前達はアンネの宿舎を守ってくれ」
「アンネさんの宿舎をですか?」
仁が疑問を持った表情を浮かべる。
「ああ。あそこの地下はシェルターになっていて身を隠せるようになっているんだ。女性と子供には、そこへ入ってもらう手筈になっている。あまり、大勢だと何かあると敵に悟られる可能性もあるからな。もっとも……国の中に敵を侵入させないのが俺達の仕事だけどな」
シンバさんの話だと、国の中へ敵を絶対に侵入させないために領土の外壁を固めるらしい。
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