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戦争開始48時間前。
夜になると、さらにレッドキングダム国内は騒がしくなる。
基本的には夜の10時になれば、窓の外から見える通りはいつも静けさに包まれているが、この日は0時を過ぎてもまだ人通りが多かった。
もうすぐ領土移動が行われる。
決戦の地は、オリンポス山脈の麓。
メビウスの輪と新撰組の対抗戦時は、全く別のフィールドに移動したはずだが、今回は他のプレイヤーも直接、観戦出来るように同じ平面に移動するらしい。
とは言ったものの、仁が考え出した、クエストの島が海の向こう側にあるとするなら、あの時チーム対抗戦が行われた場所もどこかに存在するのかもしれない。
窓の外の景色は、これまでと変わりがない。
沢山の住宅街に灯された明かり。
輝かしい宮殿。
そして、これ以上にない優しさに包まれた国。
「あれ?」
遠くの空。暗闇に包まれた夜空。
その中で、黒い何かが光ったような気がした。
まるで流れ星のように、一瞬だけ光ったような。
それは、既視感を起こす。
あれは……。
光刀。今の見たか?
光刀。光刀。
光刀?
いや……。ここにいるはずがない。
気のせいか。
あれ? 前にも一度、こんなことがなかったっけ?
光刀は寝ているのか返事をしてくれなかった。
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