成長、そして戦争へ

8/15
前へ
/17ページ
次へ
戦争開始48時間前。 夜になると、さらにレッドキングダム国内は騒がしくなる。 基本的には夜の10時になれば、窓の外から見える通りはいつも静けさに包まれているが、この日は0時を過ぎてもまだ人通りが多かった。 もうすぐ領土移動が行われる。 決戦の地は、オリンポス山脈の麓。 メビウスの輪と新撰組の対抗戦時は、全く別のフィールドに移動したはずだが、今回は他のプレイヤーも直接、観戦出来るように同じ平面に移動するらしい。 とは言ったものの、仁が考え出した、クエストの島が海の向こう側にあるとするなら、あの時チーム対抗戦が行われた場所もどこかに存在するのかもしれない。 窓の外の景色は、これまでと変わりがない。 沢山の住宅街に灯された明かり。 輝かしい宮殿。 そして、これ以上にない優しさに包まれた国。 「あれ?」 遠くの空。暗闇に包まれた夜空。 その中で、黒い何かが光ったような気がした。 まるで流れ星のように、一瞬だけ光ったような。 それは、既視感を起こす。 あれは……。 光刀。今の見たか? 光刀。光刀。 光刀? いや……。ここにいるはずがない。 気のせいか。 あれ? 前にも一度、こんなことがなかったっけ? 光刀は寝ているのか返事をしてくれなかった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

477人が本棚に入れています
本棚に追加