A班

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一度生み出した闇は消えることはない。 それが私の答え。 でも、今は動けない。 「おい。シンバ」 ルイは僅かに流した涙を袖で拭いながら、シンバに呼び掛けた。 「人質の件はなしだ!もう一回仕切り直して戦え」 シンバを見ると、戦闘体勢を解いて冷静な姿に戻っている。 「あたし達があんたと戦うのには理由がある」 シンバはルイに視線を向けている。 動揺をしていた空。 ルイの言葉を聞き、すぐに戦闘体勢へスイッチを切り替える。 卑弥呼もそれに伴い、戦闘体勢をとった。 自然と私はパソコンのキーボードを叩いた。 揉めるのは後だ。 今はシンバを倒さないと意味が無くなってしまう。 一瞬の沈黙。 こうなったら、正攻法でシンバを倒すしかない。 正直、何かに対して心は折れそうで戸惑っているが、とにかくやらなきゃいけない。 そんな葛藤を抱える中、沈黙を破ったのはシンバ。 ではなく、私でもなく、ルイ、空、卑弥呼でもない。 「お取り込み中、失礼致します」 宙を流れるように飛ぶ何か。 それを自分の胸元まで飛んでくると、シンバは受け取る様にキャッチした。 シンバの手の中に収まっているのは、紛れもなく宝石。 私は声がした方に視線を向けた。 ありえない侵入者。 「私、神谷慎太郎と申します」
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