445人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
「回収!」
ルイの声と共に、ミラは異次元空間へ戻っていく。
あんな能力あるの?
おかしくない?
シンバは能力を使っていない。多分……。
予想外なのにもほどがある。
ルイの人形は、命力を注ぎ込んで動くタイプだ。
車にガソリンを入れるのと似ている。
動かなくなったのは、おそらくそのガソリンがゼロになったから。
そんなこと可能?
しかも、一瞬で。
着地したシンバは、周囲の地面を見回していた。
卑弥呼が設置したトラップを見ている?
まずいな。出だしにも関わらず、完全に流れが悪い。
ルイを含め卑弥呼も空も、あまりの予想外の事態に困惑を隠せていない。
落ち着いているのは、シンバだけ。
マジック。そう。手品だ。
シンバが今やったことには、何かタネがあるはず。
それを見破ればいいんだ。
「随分、沢山の罠を仕掛けたな」
シンバは、地面を見ながら冷静な口調でそう言った。
ルイは掌に命力を灯す。
さらに、空はいつでも攻撃が仕掛けられるように構えた。
ここからだな。二人に火が点いた。
「ナメんなよ。ロン毛帽子野郎」
ルイが中指を立てると同時に、シンバを囲む形で四つの異次元空間の穴が広がった。
最初のコメントを投稿しよう!