A班

14/29

445人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
空の全身から溢れているのは、間違いなく魂力。 体の周囲を纏うように入り乱れた赤い光と黒い光。 このタイミングで。 二色の輝いた光が意味しているのは、紛れもなくリミットタイム。 確かに、この戦いで切り札の一つとして用意していた。 ただ、リミットタイムは通常ならば瀕死の際などに発生する現象。 魂力を完璧に使いこなせる人間ならともかく、自分の意志で、そうそう自由にコントロールすることはできない。 無理矢理、リミットタイムを引き出している。 空が魂力を使い始めたのは、最近の話だ。 今は不完全なのもいいとこ。 だからこそ、この切り札はどうしようもない時のための手段の一つだった。 空は、今がその時だと判断したのだろう。 距離を詰めより、拳を構える空。 赤黒い光が拳を中心に渦巻き、シンバに脅威的な牙を向ける。 「お前、そんなことが出来るのかよ」 シンバは戸惑うよりも、驚いてる方が大きいようだ。 拳を撃ち出す空。 自分の懐に、完全に潜りこまれたシンバに避ける時間はない。 さあ、どうする?
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

445人が本棚に入れています
本棚に追加