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空の全身から溢れているのは、間違いなく魂力。
体の周囲を纏うように入り乱れた赤い光と黒い光。
このタイミングで。
二色の輝いた光が意味しているのは、紛れもなくリミットタイム。
確かに、この戦いで切り札の一つとして用意していた。
ただ、リミットタイムは通常ならば瀕死の際などに発生する現象。
魂力を完璧に使いこなせる人間ならともかく、自分の意志で、そうそう自由にコントロールすることはできない。
無理矢理、リミットタイムを引き出している。
空が魂力を使い始めたのは、最近の話だ。
今は不完全なのもいいとこ。
だからこそ、この切り札はどうしようもない時のための手段の一つだった。
空は、今がその時だと判断したのだろう。
距離を詰めより、拳を構える空。
赤黒い光が拳を中心に渦巻き、シンバに脅威的な牙を向ける。
「お前、そんなことが出来るのかよ」
シンバは戸惑うよりも、驚いてる方が大きいようだ。
拳を撃ち出す空。
自分の懐に、完全に潜りこまれたシンバに避ける時間はない。
さあ、どうする?
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