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「なっ」
それは時の流れを遅く思えるほど、緩やかに感じた。
シンバは空の拳の軌道を読み、自分の手の平を合わせる。
同時に、シンバの手の平に灯される力。
あれは……。
魂力。
空の拳は、シンバの手の平に直撃した。
直後、岩を粉砕するような轟音が鳴り響く。
「────つ」
シンバの帽子が宙に飛び、長い髪がふわっと跳ねた。
手の平は弾かれたが、空の拳は明らかに勢いを失い不発に終わった感を否めない。
今のは魂力。
はっきりと見えた。
シンバは魂力に魂力を合わせて、空の力を打ち消したんだ。
「あっぶねえ」
手の平を弾かれたシンバは、呟くように言ってすぐに体勢を立て直し始める。
過信。空は自分の攻撃を受け止められたことに、予想外の反応を隠せていなかった。
ややシンバより遅れて、次の拳を放つための準備をする。
「ボウズ。魂力は子供には早すぎる」
拳を打ち出すよりも、シンバの方が速かった。
私はパソコンの画面に視線を落とす。
そうか。
パソコンには【解析完了】の四文字。
そういうことか……。
シンバが手の平を前に突き出すと、空の体は宙に舞った。
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