445人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
「アンネって女性は大切な人なの?」
私が放った言葉に、シンバはぴくっと反応した。
画面に映し出される光景。
戦闘を終えたチーム春夏が、どこかの建物に入っている。
無駄かなと思っていたけど、ルイの人形にカメラを仕込んでみたのは正解だったわね。
これ、面白い。
画面に映っているのは、一人の女性の姿だった。
チーム春夏のメンバーは、その女性をアンネさんと呼んでいる。
アンネの表情は暗く、シンバさん、シンバさんと何度も男の呼んで、頬に涙を流す様子から察するに、ひどく心配している様子だった。
話の内容から窺えるのは、シンバが強制クエストに行ってしまったこと。
チーム春夏が、シンバさんは大丈夫だとなだめている。
「あら、図星?シンバさーん」
シンバは宝石を探すのをやめて、私をキッと睨んだ。
怖い目付き。
沈んだ瞳から感じるのは、紛れもなく殺意。
余裕を感じていたシンバの表情は、この一言で一変した。
「なるほど。レッドキングダムの戦闘要員以外は建物の中に隠れているのね。場所をアレクサンドロスに教えたら面白いことになりそう」
段々とシンバの表情は、さっきまでとは異なり怒りへ変わっていく。
これは思った以上にアンネさん活躍の時ね。
最初のコメントを投稿しよう!