A班

5/29

445人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
黒い布を巻き、身を隠したその姿。 さらに黒いキャスケット帽を深く被り、長い髪が垂れ下がっている。 あら、綺麗。 帽子の下に覗かせた顔は、嫉妬を覚えるほどの美しさ。 男のくせに。 「ん?」 光から解き放たれて草原に降り立ったシンバは、きょとんとした目をして私達を見た。 「何だ?これ。お前らの仕業か?」 取り乱した様子はない。 「強制クエストに人間がいるのは初めてだな」 興味津々に周囲を見渡す。 私は無言のまま、目を離さないでじっと見た。 「あれ?見覚えがあるぞ。ここ」 シンバは、もう一回辺りを見る。 「ここは、草原の中に眠る宝石クエストと同じ場所じゃねえか」 ご名答。乗っ取ったクエストは、果てしない草原の中からたった一つの宝石を探し出す内容だ。 やったことがあったのね。 「お前らが作り変えたのか?クエストを」 シンバは私達を順番に見た。 美しい肌よりも気になること。 私はシンバから目を逸らし、パソコンのキーボードを叩いた。 分析開始。 戦闘はこっちがデータを取り終えた後よ。 徹底的に調べて、貴方の弱点を見つける。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

445人が本棚に入れています
本棚に追加