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黒い布を巻き、身を隠したその姿。
さらに黒いキャスケット帽を深く被り、長い髪が垂れ下がっている。
あら、綺麗。
帽子の下に覗かせた顔は、嫉妬を覚えるほどの美しさ。
男のくせに。
「ん?」
光から解き放たれて草原に降り立ったシンバは、きょとんとした目をして私達を見た。
「何だ?これ。お前らの仕業か?」
取り乱した様子はない。
「強制クエストに人間がいるのは初めてだな」
興味津々に周囲を見渡す。
私は無言のまま、目を離さないでじっと見た。
「あれ?見覚えがあるぞ。ここ」
シンバは、もう一回辺りを見る。
「ここは、草原の中に眠る宝石クエストと同じ場所じゃねえか」
ご名答。乗っ取ったクエストは、果てしない草原の中からたった一つの宝石を探し出す内容だ。
やったことがあったのね。
「お前らが作り変えたのか?クエストを」
シンバは私達を順番に見た。
美しい肌よりも気になること。
私はシンバから目を逸らし、パソコンのキーボードを叩いた。
分析開始。
戦闘はこっちがデータを取り終えた後よ。
徹底的に調べて、貴方の弱点を見つける。
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