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私のパソコンには、DIMのレベル測定よりも優れた機能が搭載されている。
シンバを対象に。パソコンを調査モードへ。
画面にはシンバが映し出されて分析が始まる。
シンバは何かを感じ取ったのか、その場で一歩だけ身を退いた。
違う。向こうは、はっきりとわかっている。
私の体からと、パソコンから放たれている命力に気付いたか。
相手が能力を使用していると気付くぐらいは、確かに朝飯前よね。
「本当、お前ら何なんだよ?黙ってて」
シンバは未だ悠長な顔つきをしている。
「まあ、友達になろうって感じじゃないよな」
噂に聞いていた通り、人が良さそうね。
残念だわ。ここで殺さなきゃいけないなんて。
「俺、早く強制クエストを終わらせて帰らなきゃいけないんだ」
途端に走る緊張感。
「用事がないなら帰してくれ」
画面には、分析したデータが書かれ始める。
ん?
エラー?
どういうこと?
私は顔を上げて、自分の目で直接シンバを見た。
特に能力を使っている様子はない。
「頼むよ」
シンバの瞳は、切にそのことを強く願っていた。
その言葉に、私達は反応しない。
何かを諦めた様子のシンバ。
「頼んでも……無理みたいだな」
よし。敵が戦闘態勢に入る。
私は空を見た。
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