第1章

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僕はこの夏、恋をした。 駅員であるにも関わらずとある女子高生を好きになってしまったようだ。 この駅は利用客も少なく、利用客の顔はすっかり覚えてしまえるほどだ。 彼女は同じ時間、同じ場所で本を読んでいる。しかし、電車が来ると彼女は行ってしまう。 そんなある日、僕は思いきって彼女に話しかけてみた。 「今日も学校かい?」 「………はい。」 彼女は少し驚いた様子で答えた。駅員に話し掛けられるとは思っていなかったのだろう。 さすがにここで会話を切るのも気が引けるのでもう少し続けることにした。 「学校は楽しいかい?」 「はい。それなのに。」 僕の質問に彼女が 淡々と答えるだけの会話。他にも聞きたいことはあったが丁度、電車が来てしまった。 彼女は荷物をまとめて電車へと向かう。しかし、僕の前で立ち止まって言った。 「明日も、お話できますか?」 「もちろん。よろこんで。」
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