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シンバさんらしいな。
あえて話さない。
時々、シンバさんにはそういう一面があって、重要なことを話すのに、そのわりには肝心なことを隠したがる癖がある。
こういう時は、それ以上突っ込まないようにしていた。
組織としては駄目だと思われるかもしれないけど、そうすることによって成功してきた例も多くあるからだ。
実際、シンバさんは謎に包まれた部分が未だに多い。
例えば、俺とリリルに修行をつけてくれる前、シンバさんはどうやって強くなったのかとか。
国王様なら、それは知っているかもしれないけど……。
「リリルからの伝言だ。一度、宮殿に集合して作戦を練り直すそうだ」
シンバさんは、ポセイドンを見ながらそう言った。
「リリルにも会ったんですか?」
「ああ。ポセイドンを潰そうと出撃しようとしたところで俺が止めた。あれが攻撃してきても、俺が結界を張れば何とかなるからな」
そこは敵の誤算か。
シンバさんが戻ってくる予定は、アレクサンドロスも考えていなかったはずだ。
だからポセイドンで攻撃を行わず、休戦を選んだのか。
全てアレックスの指示だろう。
うっすらと朝日が姿を現し始めた。
戦いはまだ始まったばかりにも関わらず、妙に爽やかな空気が国を包んでいる。
こうして、俺とシンバさんは宮殿へ戻った。
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