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眩しい視界。攻撃を警戒しながらも、すぐに光の性質を見極める。
これは心力で作られた光だ。
何かしらの能力であることには間違いない。
大丈夫。攻撃系ではないな。
俺は絨毯を操作して、建物から少し距離をとろうとした。
しかし、その直後、光は輝きを失いすぐに治まる。
すぐに周囲を見渡してみると、建物全体が大きな膜で包まれていることがわかる。
その中には、俺も含まれていた。
何のための能力だ?
結界だとしたら、敵を侵入させたまま作るのは意味がない。
俺は短剣に再び心力を込めて、今度は膜に向かって解き放った。
心力が直撃した膜は、激しい音を轟かせて爆発を引き起こす。
しかし、その攻撃で膜が破裂することはなかった。
硬い。結界の類いとは、また別の能力みたいだ。
不意に、何かを閉じ込めておくための檻を思い出す。
檻の鉄格子を揺さぶる光景。
嫌なイメージしか浮かばない。
短剣から解き放った心力で引き起こした爆発に、手を抜いたつもりはない。
この膜を作り出したのは、俺の心力に対抗出来る力を持った奴ってことだ。
俺は建物を警戒しながらも、懐からDIMを取り出した。
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