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DIMの画面に描かれたのは、ウルフの死亡知らせ。
ウルフの顔が頭の中で思い浮かぶ。
やっぱりか……。
画面を見る前に、心のどこかでわかってはいた。
アレックスは、初めから一気にレッドキングダムを落とそうとは考えていなかった。
大掛かりな陽動作戦。
アレックスは、初めに攻めてくる攻撃要員をまず確実に潰すことを考えていたんだ。
上空から本部ごと攻めて来たのは、俺やシンバさんを確実にこの場から動かさないようにするため。
ウルフの窮地が漏れれば、シンバさんの部隊を増援に回して何かしらの対処が出来る。
アレックスはそれを恐れた。
こっちが流れを掴み、一気に攻めこんで来るのを……。
「ちきしょう」
落ち着け。ウルフなら死んだとしても、能力を残すことが出来るはず。
これだけの短い時間。
殺ったのは、間違いなくレオンかアレックス。
もしくは二人でウルフと戦ったはずだ。
あいつはそう簡単に殺られない。
「──!」
突然、周囲には地を割る轟音が響く。
俺は音がした方へ視線を向けた。
「あれは……」
レッドキングダムとアレクサンドロスの領土の、ちょうど中間地点辺り。
濃霧に阻まれながらも、突然姿を現した“それ””が何なのかすぐにわかった。
巨大な人影。
その高さは、レッドキングダムの宮殿より遥かに勝る。
「ポセイドン」
口にした直後、建物の方に人の気配。
「正解。すぐにわかるなんて、さすがレッドキングダムのナンバー3だね」
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