レッドキングダム宮殿

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お兄ちゃんは、本当にいつも私に優しかった。 同時にその優しい笑顔が、私は世界で一番大好きだった。 あの笑顔は、写真のように今も鮮明に覚えている。 その笑顔と優しさに、私は何度救われたことだろう。 家族でのお出かけ。私の中で一番楽しかった想い出。 お父さんとお母さんとお兄ちゃんに包まれた想い出は、心の中で残る最も暖かい場所。 ある日。 お父さんとお母さんが離婚することになった。 お母さんは私に言った。 パパとお兄ちゃんはね、別の場所で暮らすことになったの どうして? 離ればなれになる意味が、その時の私にはよくわからない。 お父さんとお兄ちゃんは、遠くで暮らさなきゃいけないの。 どうして、お父さんとお兄ちゃんは別の場所で暮らすの? それは大人になったらわかるわ 嘘! 大人になってもわからない 今でも、喋りながら車輪を強く握り締めた時の感覚は忘れていない。 どうして? 私が悪いことをしたから? 違うわ。あなたは何も悪くないわ。 いや。お父さんとお兄ちゃんと離れるの嫌。 ずっと会えないわけじゃないわ。 嫌。嫌。どうして? どうして? 私の目が青くて学校で虐められたから? 違うわ。目の色は関係ない。大丈夫よ。ずっと会えないわけじゃない。 それが家族の崩壊だと理解するのには、だいぶ時間がかかった。
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