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最後の日。部屋の中には沢山のダンボールが積まれているのにも関わらず、まだ包まれていない荷物が多くある異様な光景。
お父さんとお兄ちゃんの分の荷物だけが、ダンボール箱に詰められていた。
私とお母さんはここに残って暮らす。
今日が最後の日なんだと、お父さんとお母さんを見ていれば何となくわかった。
最後だよって言われたわけではないが、私はお兄ちゃんと一緒にいれる時間をひたすら気にしていた。
そんな中。
お父さんとお母さんが留守番をしていなさい、と言って出かけて行った時。
お兄ちゃんは、私を家の外に連れ出してくれた。
どこ行くの?
私の言葉に、お兄ちゃんはいつも通り優しく微笑んで答えてくれる。
どこに行きたい?
遊園地
お兄ちゃんは、私の望んだ通り大好きだったあの遊園地に連れて行ってくれた。
遊園地の中では、今日も変わりなくジェットコースターが走り続けている。
あのジェットコースターのように、毎日が変わらなければいいのに。
意地悪をしたあの日のことを思い出した。
アイス食べたい
私はお兄ちゃんにアイスをねだった。
お兄ちゃんは、ポケットに手を突っ込んで小銭をじゃらじゃら取り出す。
お店の人から受け取ったアイスは、一つだった。
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