465人が本棚に入れています
本棚に追加
あれから、しばらくして家康さんは全く動かなくなってしまった。
それは、まるで電池切れを起こしたロボットのように。
今ではピクリとも動かない。
仁は冷静な口調で、美沙と同じく家康さんを見ながら言った。
「多分、誰かの能力だったんだよ。動いている時、家康さんの体の中には確かに命力が込められていた。今はその命力が消えている」
そうか。命力か。
確かに動いていた時と感じが違う。
仁の言う通り、誰かの能力で、おそらく命力が無くなったから動かなくなったんだ。
だとしたら……。
複雑だな。助けてもらったには違いないが、家康さんの体をこんな風に使うなんて。
一体、誰がこんなことを。
『かなりの技術だな』
光刀の言葉が心の中で響き渡る。
『命力でただ単に物を動かすことはそう難しくはないだろうが、意志を持たせたかのように自動運転で動かすのはかなりの高い技術が必要なはずだ。』
これが本物の家康さんの体だとしたら……。
新撰組の屯所で手に入れたってことだよな。
俺は、何か繋がりそうな点と点を結ぶ線を探していた。
「話題を変えるけど」
そんな矢先、杏奈が口を開く。
「神谷さんは戦争の間、どこに行ってたのかしら」
杏奈は、おじさんについて話を出した。
最初のコメントを投稿しよう!