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『私はどっちが勝つのか楽しみだな』
どっちが勝つかって……。
レッドキングダムに決まってるだろ?
『互いに自分が勝つって思ってるからこそ戦争を行うんだろ?どっちが勝つかなんてわからないさ。私は君が生き残れば問題はない』
意外と冷めた考え方なんだな。
俺と同じ景色を見てきているはずなのに。
戦いが始まる直前。
光刀の考え方に疑問を持つ。
そうだ。確かにチーム登録をしていない俺達は、チーム対抗戦には全く関係ない。
レッドキングダムのリーダーが殺られてもデメリットはないし、今すぐに戦場から逃げ出すことだって出来る。
『逃げ出すなら今だぞ。どうするんだ?』
急かすように訊いてくる光刀。
俺はもう目の前のことから逃げたくはない。
誰かのために役立つ戦いなら、必死で目の前の出来事に立ち向かいたい。
国中に鳴り響いていたサイレンの音は、いつのまにか止んでいた。
「和也。国の中に敵の侵入を許してしまった場合、俺らはそれを仕留めるようにしよう」
隣に立つ仁の言葉。
まるで、これから狩りでも行うような目をしている。
俺は黙って頷いた。
直後、正門の上から誰かの声が響き渡る。
「正面から敵が来るぞおおおおお!」
途端に走る緊張感。
俺は光刀の柄を握り締めた。
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