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対峙するミケランジェロの体は、段々と薄れていく。
足首辺りが水につけたように消えていて、宙に浮いていた。
『奴があの能力を使うのには、幾つか利点があるからだ。一つ目は攻撃の無効化。二つ目はあの能力を使えば飛行能力として使えるからだろう。だから、今も能力を使い続けている』
なるほどな。確かに、足下が見えないと動きが不規則で先を読むことができない。
『一つ目の攻撃の無効化に関しては、君に対しては役に立たない。それどころか弱点にすらなっている。でも、動くのに便利だからあの能力をなかなか手放すことができないのさ』
冷静な光刀の口調。俺は構えて、ミケランジェロとの間合いをはかった。
『その証拠に、簡単には君に近づいてこないだろう』
光刀の言う通りだった。
敵との距離は、僅か数メートル。
この間合いなら、ミケランジェロは俺を簡単に殺せるはず。
だけど、ミケランジェロはすぐに攻撃を仕掛けてくることはなかった。
『相手は怒っている様子だが、見かけとは反対に冷静だ。一度、致命傷を負わされた敵に対しては少なくとも警戒心を抱くだろう。万が一にも、また同じ展開になったらって考えが脳内を埋めるはずだ』
どうすればいいんだ?
『そこだな。簡単には近づいて来ないだろうが、申し訳ないことにその先は全く思い付かない。敵が攻撃を仕掛けてくれば、こっちは終わりだ。とりあえずは防御に専念してみるか?』
い、いや。防御に専念はまずい。
敵に仕掛けてこいと言っているようなもんだ。
不意に視界の端に映る羽柴。
地面に投げ出されて倒れているが、俺に視線を向けていることに気がつく。
口を動かして、何かを俺に訴えかけていた。
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