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何を言っているんだ?
羽柴の切なる表情。
明らかに何かを伝えようとしている。
声に出して言えないことというよりは、口の開き方を見るかぎり声が出ない感じだ。
『羽柴の戦いは私が見ていた。奴が胸ぐらを掴まれた時に、急に声が出なくなったんだ。そして、暴れるために振り回していた腕の動きも途端に止まった』
声が出ない?
羽柴は必死に口を大きく動かしている。
よく見てみると、体内の頭部分に命力が密集していた。
能力?
『羽柴の能力は、私が見た感想では視線による攻撃。見た物体を凝縮して吹き飛ばす能力だった。当たっているかはわからないがな』
羽柴の全体を見ると、大した傷は負っていないのに動きが不自然だ。
光刀の言う通り、腕が動かないせいだろう。
見た物を吹き飛ばす能力なら、何でミケランジェロに攻撃しないんだ?
『おそらく物体ではないミケランジェロの能力には通用しないんだろう。その証拠に、ミケランジェロがあの能力を使い始めてから羽柴は視線による攻撃をやめた』
しばらくの沈黙。
ミケランジェロはまだ動く気配はない。
どうする。一か八か、あの能力を使っている間にこっちから仕掛けるか?
迷いが限界に達した時。
光刀は言った。
『そうか。わかったぞ』
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