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光刀は静かな口調で俺に語りかけてきた。
『このままでいい。ミケランジェロに攻撃を仕掛けろ』
大丈夫なのか?
敵との距離は僅か数メートル。
だけど、どんな切り札を使おうとも、多分対処されてしまう。
『君が攻撃を仕掛ければ、ミケランジェロは警戒して実体を現すはず。その時、羽柴が視線による攻撃を行うだろう。奴にとってはそれが不測の事態。前方から仕掛けてきた攻撃は自分の能力の弱点に値し、実体を現した時には離れた場所から羽柴が攻撃を行う。これは詰みだぞ』
それが羽柴の訴えかけていること。
確かに、それなら奴に勝てる可能性はある。
俺は羽柴を見て、小さく頷いた。
体を包み込む水を、刃に変えた右腕に全てを集める。
ミケランジェロは、それに備えるようにその場から一歩下がった。
いける。ミケランジェロを一瞬でもいいから、俺の方に神経を集中させればいい。
奴が俺の攻撃を防ぎながら、実体を現した時がこっちの勝ちだ。
迷いがないと言ったら、嘘になるかもしれない。
だけど、成功する可能性は高い。
攻撃が成功しなくても、防がせるだけでいい。
『よし。勝負は一瞬だ。行け』
俺は足の爪先に力を入れて、地を蹴り飛ばした。
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