戦争再開-2

16/31
451人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
ごめん……悪かった。 『まあ、危機的状況なのは変わらない。ここからどうするかだな……。』 ミケランジェロは肩から手を離して、またティーポットの能力を作り出す。 「二度も、こんな雑魚に……」 その凄まじい怒気からか、足が前に進むことを許してくれない。 近づけない……。 一歩でも前に進めば、デッドラインを跨ぐような気がした。 体は透けたまま。能力を解除することが出来なかった……。 羽柴の能力は放つことが出来ない。 どうする……。 一度目は不意討ち。 二度目は自分の身と引き替えに。 三度目はないだろう。 どんな方法をとっても、ミケランジェロに対処されてしまう気がする。 一か八か、心力を使って切り札を使うか? でも、それをやってしまえば、もう戦うことは出来ない……。 絶体絶命。対抗策がない。 ミケランジェロが肩の治療を終えた時、俺は悟った。 もうどうしようもない状況なのだと。 ミケランジェロの雰囲気から、象と蟻ほどの違いを感じる。 あれに勝てるはずがない……。 不意に感じた不安は、心の中で急速に広がり始める。 『やるしかないな。一か八か』 無意識に震えていた体を、必死に落ち着かせようとする。 多分、一瞬で殺されるだろう。 ミケランジェロから放たれる殺意は、明確に俺へ向けられていた。 一瞬のこと。心力を解放しようと心の準備をした時だった。 俺やミケランジェロから少し離れた場所で、一筋の光が放たれる。 ミケランジェロは、すかさず光が放たれる方へ視線を向けた。 何だ……あれは……。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!