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当たり前のように言い放つ二宮に、ミケランジェロは鼻で笑う。
「何故、そんなことを?うん。うん。笑えないね。わざわざ、のこのこと来た君たちを逃すはずがないだろう?」
二宮は、ミケランジェロの威嚇に対しても怖じ気づいたり、一切の動揺を見せなかった。
「戦ったり、殺すメリットがお互いにないだろう?」
あたしは声帯を奪われたし、両手の感覚がないけどな。
それでも……。
ここで帰れるなら、その方がいい。
二宮は大人だ。あたしはいつもそう思う。
状況もよくわからないのに、普通ならあたふたして相手を見て交渉なんてできないはず。
でも、二宮はいつだって冷静で、今来たばかりなのに状況をなるべく理解して、最善の判断を考え出す。
相手に隙を作らないように弱さを見せない。
「あるさ。快楽を手に入れられる」
ミケランジェロは、何故あたし達をここに連れてきたか事情を伏せた。
理由を話したいが声は出ない。
渋谷和也もユキヤのことは知らない。
くそっ。
二宮から放たれる異様な雰囲気。
サングラスを中指で押し当てながら言った。
「確かにお前は強そうだな。ここにいる全員が死ぬかもしれないなあ。だが、俺なら命と引き換えになったとしても、お前の核を殺ることが出来るぜ」
ミケランジェロは、その言葉に一瞬の動揺を見せた。
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