452人が本棚に入れています
本棚に追加
こんなくそ野郎。
どうしてこんなの人の上に立つような奴なんだ。
くそ野郎。くそ野郎。
あたしの仲間を傷つけやがって。
ひどいことしやがって。
許さない。許さない。
死んでも呪い殺してやる。
あたしの目頭は熱くなり、自然と涙が込み上げてきた。
離せよ。離せよ。
「いい顔だね」
ミケランジェロはまた笑う。
悔しい。悔しい。
怖い。怖いよ……。
「あはははは!」
ミケランジェロはそんなあたしを見ながら、ただただ笑った。
「え?」
笑う声が室内に反響する中、次の瞬間、おそらくあたしとミケランジェロが同時に異変に気がつく。
それは一瞬のことだった。
ミケランジェロの腹辺りに走る一閃。
白い光がほとばしる。
「なっ」
ミケランジェロは気配を感じて、視線を向けた。
直後、崩れゆくミケランジェロの体。
腹の辺りから真っ二つに割れていく。
胸ぐらから離れていく気持ち悪い手。
あたしは地面に投げ出された。
そして、あたしも視線を向ける。
少し離れた場所では、ミケランジェロが繰り出した人形が倒れていた。
あたしの前に立つ人物。
こんな雑魚が?
白く輝いた刀。
眩い光が辺りを照らし出す。
ミケランジェロは信じられないと言った表情で、床から奴を見上げた。
いつの間に……。どうやった?
奴の体は実体がないはずなのに……。
焦りながら。困惑しながら。
刀を構えるそいつ。
あたし達の前には、刀を構えた渋谷和也が立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!