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渋谷和也は肩で息をしていた。
その様子からは、ただただ静かにミケランジェロ狙っていたことが窺える。
ミケランジェロより渋谷和也の方が強いわけじゃない。
でも、ミケランジェロが窮地に陥るダメージを喰らわせたのは間違いない。
たった一度のチャンスに賭けたって感じだ。
何故、こいつの攻撃は効いたんだ?
今はそんなことを考えている暇はないな。
くそ。声は出ない。両腕は動かない。
「くそう。殺してやる」
上半身と下半身に分断されたミケランジェロ。
今は能力が解除されて実体を現していた。
床に這いつくばりながら、渋谷和也を睨みつける。
次の瞬間、渋谷和也は刀を構えてた。
渋谷和也の周囲で渦巻く白い煙が、水へと変化していく。
すると、刀は奴の身体と一体化するように姿を消した。
渋谷和也の全身には、白く輝いた水が取り巻く。
あいつの能力か……?
それは、何故かヒカルの姿と重なった。
ミケランジェロの上半身は、夥しい血を流しながら宙に浮かび上がった。
薄れていくミケランジェロの上半身。
あれほどの怪我。命力、心力、魂力、明らかに全ての力が著しく低下している。
渋谷和也は宙に舞う敵を見上げていた。
ミケランジェロの身体から放たれる光。
手にはティーポットが現れた。
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