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─────シンバ──────
「よし。ここからだな」
俺は美沙がシェルターの方へ走っていくのを見送ると、国王様に視線を戻した。
刀を受け止めた国王様の掌から放たれる心力。
あの掌の防御は、なかなか打ち崩せない。
その瞬間、掌から衝撃波を生み出し、レオンが乗った機動兵器は吹っ飛ばされて空高く舞った。
瞬くと、国王様の姿が消えている。
次に国王様の姿を見たのは、宙に舞った機動兵器の頭上だった。
杖を脳天に当てると、雷鳴のような音が響き渡り、凄まじい命力が放出される。
空から地上へ、一直線に墜落していく機動兵器。
レオンが乗った機動兵器は、大通りに広がった火の海に飲み込まれた。
叩きつけられると同時に、地響きが鳴る。
その火が姿を変えたのは、レオンが地に落ちてからまもなくのこと。
火が腕の形に変わると、指を広げて国王様に襲いかかる。
やるな。レオンは落とされる瞬間には、地上に広がる火を操った。
国王様が杖を掲げると、洪水のような水が流れて、腕の形をした火が姿を消していく。
これが国王様の本気の力か……。
通りで、何度、戦っても勝てないわけだ。
「レオン!退くな!大量のエネルギー放出はどんな人間でも長続きしない!」
いつの間にか、向かい側の屋根の上に移動したアレックスがDIMでレオンに指示を出していた。
どんな人間でも……?
違うな。
国王様は……。
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