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日本刀の形によく似た巨大な刀。
その場から放たれる魂力は、輝きを生み出す。
私はあまりの眩しさに、左手で視界を覆った。
僅かな指の隙間から見える光景は、想像を絶するものだった。
振り降ろされた巨大な刀を、国王様は杖を差し出して受け止めていた。
一瞬、遅れて衝撃音が響き渡る。
「きゃっ!」
吹き荒れる突風。
「もう少し離れた方がいいな。この辺り一帯は危険だ。シェルターに行ってろ。俺はシェルターを守る」
シンバさんは、吹き荒れる突風も平気な顔をしていた。
「折れた方の腕を出してみろ」
私は言われた通り、折れた手首を差し出すと、シンバさんは能力を使った。
たちまち、痛みが退いて、手首が元に戻っていく。
シンバさん、何でもできるんだ……。
「もうこれで大丈夫だ。早く行け」
私は、和也が倒れていた辺りを見下ろした。
和也……。
本当に死んじゃったのかな……。
この場から離れてしまうのが、何となく名残惜しい。
戦場の中心地なのに……。
でも……。私がここに居ても、何もできない。
シンバさんは、もう私の方を見ていなかった。
能力で結界を作りはじめている。
「わかりました……」
自分の無能さに嘆いてもしょうがない。
私に出来ることを探さないと……。
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