国王とレオン

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広がった傷口を見る国王。表情は変わらない。 動じなかった。ただ、冷静に自分の傷を見ている。 見かけだけだ。 その瞳に映るのは、レッドキングダムの敗北を想像しているはず。 国王が死ねば、リリル、アダム、シンバの主力も全員死ぬ。 これで、心おきなくメインストーリーへ進むことができる。 レオンが搭乗した機動兵器は、心力を放出して体全体を覆った。 これで良い。 国王が死ぬまでは、防御に徹すればいい。 さらに続く、国王の攻撃。 国王はレオンの側まで一瞬で移動すると、杖から命力を放出した。 レオンの体は衝撃によって吹き飛ぶが、今度は心力でしっかりと防御しているため、さっきほどのダメージはない。 国王の傷口は、攻撃を行う度に広がる。 何度も繰り返される攻撃。 広がり続けた傷口と、大量の出血によって、ついに国王の膝が折れた。 終わりが近づいていく。 レオンは跪いた国王を静かに見守った。 下手に攻撃は行わない。 意外に呆気なかったな。 「────!」 何かを感じて、僕は空を見上げた。 レッドキングダムを覆った、本部として使っていた蜘蛛の建物と、ジェバンニの結界。 「なっ」 視界に映る光景は、見間違いであることを信じたかった。 「あれは……」 それを感じとった一瞬。 国を覆った結界が食い破られた。
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