国王とレオン

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僕の計算の中では、ウルフをどうしても一番初めに殺す必要があった。 戦争が始まれば、まず攻撃部隊にウルフが組み込まれる。 これは容易に予想がついた。 何故なら、レッドキングダムは保守派だからだ。 リリル、アダム、シンバは常に国を守ることを意識している。 今まで、外部から危害を加えようとした者が現れた場合、いつだってそう対処してきた。 始まりの街で、リリルとアダムが出てきたのは、特殊なパターンだ。 あれは、僕たちのチームだからだ。 ウルフが攻撃要員、他は守備要員というシステムは、そう簡単には崩さない。 何故、ウルフを殺すことが重要なのか? 答えは、ウルフが単独で乗り込んでくる理由に隠れている。 簡単だ。切り札の能力があるからだ。 基本的に、ウルフは通常時、特攻隊として飛び出してくる。 それなら、万が一の事態に備えて、何かしらの切り札を用意しているはずだ。 僕はそれを、敗戦しても必ず国王の役に立つような能力があると踏んだ。 まず、それを確実に潰したかった。 結果的に、全てがうまくいき、ウルフをレオンに殺害させることができた。 これが重要だった。 レオンが殺したことで、ウルフの能力が作動していると思わせることが。 こっちは切り札の能力の内容は把握済みだ。 能力を調べさせるのには、パーサーの調査能力を使用すれば、そう難しい話ではなかったからね。 その切り札の能力には、既にこっちが仕掛けを施してある。 これが、国王を追い詰める手段の一つになるんだ。
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