国王とレオン

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ウルフが行おうとした切り札の能力は、言葉に表すならば自由に操作ができる磁力。 能力を成功させることが出来たら、好きなタイミングで、相手を引き寄せたり、距離を離したりすることができる。 ただし、その操作が出来るのはウルフではなく国王。 つまり、自由を奪って引き寄せれば、国王ほどの実力なら確実に相手を仕留めることが可能な能力だ。 逆に窮地の際は、相手を自分から離すことが出来る。 能力は、ウルフが死亡後も、国王が生きている限りは永続的に効果を発揮する。 ただし、能力には解除する方法がある。 それは、能力を掛けられた対象がオオカミの体を燃やすこと。 普通ならば、そんな方法で解除できるなんて考えもしないだろう。 ただし、能力を解除したことは、国王に知られてしまう。 まるで、呪いのようだな。 僕はこの能力に仕掛けを施した。 あえて、レオンにかけられた呪いを解除しなかったんだ。 仕組みさえわかっていれば、細工するのはそう難しくない。 何しろ、僕が最も得意とするのは、“他の誰かの能力の改造を行う”能力だからね。 逆にしたんだよ。 操作した際、どちらにしても国王がレオンに引き寄せられるようにしておいた。 国王は、このタイミングで必ずウルフの能力を使うはず。 ほら。 そう思った矢先、国王がレオンに引き寄せられていく。 振り降ろしたレオンの刀は、国王を斬った。 仲間の能力が仇になったな。
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