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─────渋谷和也─────
レッドキングダムの領土を離れてから1日。
俺はやっと、オリンポスの入口と呼ばれている始まりの町に辿り着くことができた。
アレクサンドロスに襲われた町並みはすっかりと元の姿を取り戻し、人が少し減ったこと以外は、あの事件が起きた面影すら残っていない。
この町は、リリルさんとアダムさんに救われた場所だ。
そこから俺は港に向かい、イタリア行きの船に乗ることができた。
残りの所持金は一万円ジャスト。
イタリアに着いた時の食事代を考えると、そろそろ生活すらやばくなってきた。
ログアウトをしてバイトをしたとしても、800万円なんて金額は半年で貯まるはずもない。
考えもなしに、とりあえず船に乗っちゃったけど。
船の甲板から見えるオリンポスの頂上は、来た時と同じく霞んで見える。
でも不思議なことに、船から見える景色は、何だか来た時とは別の景色を見ているようだった。
みんながいないせいだろうか。
イタリアに着いた後にどうするか考えていると、船の中での時間はあっという間に過ぎていった。
指示によると、イタリアの港に着いた後は、徒歩で200キロほど南に進めばマニーゴッドという名前の街に着く。
その街にある港の名前が、ピノキオクエストに行ける船が出ているステーション6だ。
船泊3日。
船はあっという間にイタリアに到着した。
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