マニーゴッド-2

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─────羽柴ルイ───── 「あー」 二週間はそれぞれ自由行動だって言うから、たまには気分転換にマニーゴッドへ遊びに行こうと思ってここまで来たのに。 イタリアの港に隣接した小さな村。 到着したら、その日はその村に泊まるのがいつもの流れだ。 そして、そこで開かれているストリートファイトに参加するのも、これまたいつもの流れ。 お小遣い稼ぎになるし、マニーゴッドまでの送りがつくしね。 徒歩のほうが全然、速いんだけど。 あのトラックの荷台、マジで汗くさいし。 それでも車の方が全然楽だ。 「どうすんのかね? これ」 あたしは、その場の状況に冷静を装いながらも愕然としていた。 隣に腰かける空は、その様子に恐怖を覚えている。 おかしいとは思ったんだ。 一度も来たことがないシャルキーが、自ら一緒に行きたいなんて言い出したこと自体が……。 三人で別々にエントリーしたストリートファイト。 三人の中で始めに戦うことになったのは、シャルキーだった。 名前を呼ばれて金網の中に入るシャルキー。 それは、ストリートファイトが始まった直後のことだった。 審判の女が開始と言った瞬間、対戦相手の首がボトッと落ちたんだ。 殺しちゃいけないのがこのストリートファイトの特徴だけど、それ以前に能力を使ったこと自体が反則。 恐ろしかったのはその行為じゃなく、シャルキーの能力だ。 あたしたちはシャルキーの攻撃的な能力を初めて見た。 全く何の能力かわからなかった。 いや、殺した瞬間ですら目で追えなかったんだ。
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