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その時、いつもとは違う小さな異変に気がつく。
連邦会議の座席は、いつも同じ場所と決まっている。
長いテーブルを囲むように配置された座席。
部屋の奥側ほど、権力を持った人間が座ることになっている。
これが変わるのは、新しい人が会議に参加する時に座席が一つずれるぐらいで、大きく移動することは滅多にない。
黒田さんの代理で出席する僕の右隣には、いつも沖田が座っていた。
薄暗い灯りで照らされた室内。
世界の王補佐が座るであろう隣の席に沖田こと藤原優のネームプレートが置かれている。
どういうことだ?
あまりに急展開。
世界の王補佐の席は三つ。
その隣に、世界の王補佐直属で働く沖田。
沖田の権力が上がったからか?
僕の右隣は一体、誰なんだろう。
まだ、その座席に人は来ていない。
普通なら、席を詰めて座ることになるはずだけど。
僕はこっそりと、ネームプレートを覗いてみた。
「ん?」
見間違いかな。
目を擦ってから、もう一度ネームプレートを確認する。
な、何これ。
嘘でしょ。
体がぶるぶると震えた。オシッコ漏れるかもしれない。
な、何で。この人が……。
瞬時に頭脳をフル回転させて、必死に考えた。
沖田と入れ替わりで、世界の王補佐の直属の地位につくことになったってことか?
やはり意味がわからない。
むしろ、この人が隣に座るとか会議に集中できないでしょ。
ネームプレートには、元世界の王補佐であるはずの、ミケランジェロの名前が書かれていた。
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