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さっきまでストリートファイトの開催で賑わっていたはずなのに、辺りは静寂に包まれた。
大勢がわいわいとした空間の中で、ものの数秒で途端に静かになるって本当に怖い。
こいつの能力……。
危険すぎるだろ。
普段は存在が薄くて居るのか居ないのかわからない不気味な存在のシャルキーだけど、珍しく機嫌が良さそうだ。
「る、ルイお姉ちゃん……。僕の首あるよね?」
空は危機感が働いたのか、反射的に能力を発動させて、ヒーロースーツで身を守っていた。
「大丈夫。ちゃんとあるから」
「よかったー。一瞬、僕の首も取れたんじゃないかって錯覚したよ」
そうだ。それはあたしも同じ。
思わず、自分の首元に指を当てたもんな。
あの能力……。
あり得ないのは、いつどうやって殺したのかをわからないことだけじゃない。
シャルキーの対戦相手はともかく、問題は金網の外に立っていた連中が死んだことだ。
見た限り、金網に傷はついていない。
つまり、シャルキーは金網の外側から対象に攻撃を行ったことになる。
そして、一番あり得ないのはその速さと正確さ。
全員がほぼ同時と言っていいくらいに、首が取れたんだ。
シャルキーは、上機嫌に宿に向かって歩いていく。
あいつ、マニーゴッドへ行って何をするつもりなんだ?
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