マニーゴッド-2

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マニーゴッドは、まるであたしを王女様のように扱ってくれる町だ。 あの快感を覚えた人間は、なかなかそれを忘れることはできないだろう。 あたしの持ち家であるVIPハウスでの、優雅なひととき。 最高級のエステを受けて、シャンパンを飲みながらシアタールームで映画を見て、大きなふかふかのベッドでゆっくりと寝る。 昼食は、レストランで一流のシェフが作ったコース料理を楽しみ、その後はブランドもののお店ばかりが並ぶ区域へショッピングに行く。 まあ、買った物はマニーゴッドの家にほとんど置いておくしかないんだけど。 そして、夜はカジノへ。 そこでシャンパンを飲みながらゲームをするのが、これまたお決まりのコースだ。 最高の贅沢。 全て金さえあればの話のだけどね。 前回もコロシアムとカジノでかなり稼ぐことが出来たから、Bはありあまるほどある。 ヒカルたちと関わっていなければ、おそらくあたしはマニーゴッドでずっと暮らしていただろう。 完全に、あの町に依存しているな。 それでも……。 たまには、あたしだってゆっくり休みたい。 せっかくの自由行動の二週間なんだから、マニーゴッドでたっぷりと静養したい。 それが……。 シャルキーと一緒だと、何か壊れそうな気がする。 正直、嫌な予感しかしない。 「どうする? ルイお姉ちゃん。引き返す?」 空は能力を解除して、不安な顔をしてあたしに問いかけてきた。
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