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「戻んないよ。せっかくここまで来たんだから」
空はあたしの言葉を聞いて、気まずそうに頷いた。
「う、うん。そうだよね。ルイお姉ちゃんはマニーゴッドへ静養のために行くって言ってたもんね」
空は、人に気遣いができるよく出来た子だとあたしは思う。
出逢ってから、結構な時間が経ったけど、段々と大人になってきた。
不意に見せる不安げな表情。
あたしには、その理由がわかっている。
ヒカルが抱えている病気の心配だ。
もうヒカルの命はそんなに長くはない。
病気は怪我の治療と違って、普通なら能力で治せないからな。
この二週間、自由行動なのは、ヒカルにやることがあるからだ。
病気の治療が出来る能力者。
そんな能力は生み出せないと思っていたから信じられない話だけど、実際に存在するらしい。
いや、つい最近作られた?
詳細はわからないけど。
そいつのとこへ、二宮が同行して行っている。
厄介そうだけどな。
五芒星のうちの一つ、ホワイトマジックのリーダーだし。
「ヒカルお兄ちゃんは大丈夫かな?」
「ああ。大丈夫だと思うよ」
ヒカルの病気が治れば、ここまで切羽詰まって時間に追われることもない。
大丈夫……。
今は信じるしかない。
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