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ケンタウロスに使ったあの能力だ。
一本の柱の根元に何本もの線が入ると、そこから様々な方向に石がずれて傾き倒れ始める。
ノートンは、倒れてくる柱を大柄な体つきによく似合う太い腕で軽く支えて、死体が傷つかないようにゆっくりと地上に置いた。
柱が地上と平行になると、死体は仰向けの状態になる。
「見てみろ」
倒れても柱に張りつけにされている体。
やはり、体は柱と繋がるように石の枷(かせ)で固定されていた。
マイケルは屈むと、手首を押さえつけている石に触れながら口を開く。
「何かの能力だろうな。僅かに命力が残っている」
能力……。相手が動く前に倒してしまったからわからなかったが、ケンタウロスの中で能力を使った奴はいなかった。
これをやった奴は能力を使う。
「ちょっと見せてもらってもいいですか?」
ガーネットはそう言うと、ポニーテールを揺らしながら屈んで、マイケルと同じように体を固定されている石に指先で触れた。
綺麗な茶色い瞳は、真剣に観察していることが窺える。
しばらくすると、何かを確信したように一度頷いてから口を開いた。
「これは……。あのケンタウロスの体の馬の部分に感じた体内エネルギーと同じ人物の仕業です」
「どういうことだ?」
ノートンが険しい顔をして、ガーネットに質問をする。
ガーネットは、石を指差しながら説明を始めた。
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