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─────羽柴ルイ─────
マニーゴッドの入口であるゲートに到着すると、あたしはパスポートを胸につけて入口を警備する従業員に見せた。
「こ、これは。レインボーパスポート! ようこそ、マニーゴッドへおいでくださいました。すぐに車を手配致します」
「あー、自分で運転するから運転手はいらないから。それに護衛もいらないから」
「護衛もですか? 只今、マニーゴッド内では不法入場者を捜索している最中でして……また、パスポートの略奪などを防ぐために……」
「いいから。いらない」
「かしこまりました」
従業員は慌ただしくあたしの前から去り、どこかに電話をかけ始める。
車が到着するまでには、五分はかかるだろう。
「この二人にゴールドパスポートをお願い。支払いはDIMで」
あたしは空とシャルキーを親指で差しながら、別の従業員に対して注文した。
「空もマニーゴッドは初めてなんだよね?」
従業員が用意している間、あたしは緊張した顔つきをした空に質問をする。
「う、うん」
「何、緊張してるの?」
「マニーゴッドは危ない町だって、二宮おじちゃんが言ってたから……。」
「大丈夫だよ」
あんたほどの実力で、危ないなんてことはないから。
もっとも危ないのは……。
あたしはシャルキーを見た。
シャルキーは、町全体を囲むように立つ壁を興味津々に見上げている。
何、考えてるのか本当にわかんない。
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