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「あのケンタウロスたちは、おそらく能力によって姿を変えられた人間です。その証拠に、人間の姿をした上半身より下の馬の体部分からは、三頭とも同じ体内エネルギーを感じました。私の予想が正しければ、多分、心力」
そんなこと全く気がつかなかった。
寧ろ、考えもしなかった。
ケンタウロスたちの異形の秘密は、インジェクションの仕業だったなんて。
聡明さが伝わるガーネットの言葉。
ガーネットは話し続けた。
「三人のプレイヤーを殺した敵は、少なくとも二種類の能力を持っています。一つは命力による石を操る力。さらに、心力による姿を変える力。そして、能力とは関係なくもう一つ予想できることがあります」
俺を含め、マイケルとノートンは真剣にガーネットの話に耳を傾けた。
ガーネットは、三本の指を立てる。
「昨日、私たちプレイヤーが倒したケンタウロスの数は三頭。今日、プレイヤーが殺された数は三人。考えすぎかもしれませんが、石の柱を十字架に見立てたとしたなら、これは報復を意味する何かしらのメッセージの可能性があると思います」
「君、すごいね……」
マイケルは、半ばポカンとした顔つきでガーネットに向かって小さな拍手をした。
「ああ。素晴らしい考察と観察力だ」
ノートンも同じように感心した。
俺も何度か頷く。
ガーネットは、急に照れたような表情になり、顔を下に向けた。
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