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ある一つの確信を得る。
隣の部屋にいる命力が消える前に、その近くに僅かだが他に人の気配を感じた。
やっぱり誰かが一人一人殺している……。
それも一瞬にして……。
動揺や迷いは一切見られない。
実力はとんでもなく高いだろう。
冷静な仁なら、この状況をどう対処する?
わからない……。どうすれば良いんだ?
『相手を一瞬で殺せる攻撃を持った敵だ。殺傷力は凄まじいはず。白煙で防御出来ない場合、かなりまずいぞ。そうなる前に、こちらから攻撃を仕掛けるしかない』
どうやって?
扉が開いた瞬間に、攻撃を仕掛けるか?
そうだ。俺を除けば客室の扉を開くとしたら、敵しかいない。
ノブが回った瞬間に、攻撃を放つ。
それなら、相手の動きがどんなに速くても俺が先制攻撃を仕掛けられる。
俺は扉のノブに意識を集中させた。
あれが少しでも回ったら、扉ごと攻撃を仕掛ける。
待てよ……。
俺が部屋に入るとき、当然だが扉を開いて部屋に入った。
その時、ガチャッと鳴って、ある程度は音が廊下に響き渡ったはず。
これだけ静かなんだ。
意識を集中しているんだし、隣の部屋の扉が開いたら、少しは音がここまで届いてきていいはず。
なのに……。
隣の部屋の命力が消えるまで、音は特に何もしなかった。
敵は……扉から入ってきていない?
俺は後ろを振り返った。
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