539人が本棚に入れています
本棚に追加
雨に打ちつけられた窓。
窓には、さっきまで無かったはずの一枚の紙が貼られていた。
紙は内側からじゃなく、外側から貼られている。
その紙には、大きく二文字の言葉が書かれていた。
「合格?」
窓を開けて、手を外に出して紙を取る。
雨でびしょびしょになってふやけた紙。
合格と書かれた紙の裏を見てみると、こう書かれていた。
“よく気づきました。貴方はピノキオクエストに挑戦する権利を正式に有しました。
リニューアルに伴い、挑戦者が殺到したためにこの様な選考方法を行ったご無礼をお詫び致します。
あとは到着まで部屋でおくつろぎください。
また、これ以降、到着までは船内を出歩くことを禁じます。
客室にベルが鳴り響きましたら、それが到着の合図です。
到着後は、速やかに船を降りてください”
『試されていたようだな。これを仕掛けたのは相当な使い手だ』
お詫びします?
気づかなかった人は殺したってことだよな……。
いくらなんでも、それは酷くないか?
今度は、さっきとは逆側の部屋の命力が消えている。
たったこれだけのことで殺したのか?
あまりに狂気的な出来事に、動揺を隠せなかった。
『君は忘れていないか? ブラックアウトはルールに縛られない弱肉強食のゲームなんだぞ。これくらいは当たり前だろ。思い出せ。君が初めて襲われた時の恐怖感。騙そうとした奴らの悪意。君はその世界で強くなろうと決めたんだろ?』
俺は再び壁に寄りかかり、崩れるように床に尻をついた。
そうだ……。
これがブラックアウトだ……。
最初のコメントを投稿しよう!