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それから三人の死体を柱から外す作業を行い、俺たちは近くの土の中に埋葬をした。
どうやらプラグを体に刺してログインをすると、体は現実世界には排出されないため、クエストの中に取り残される形になるらしい。
話すこともなかった死んだ三人だが、それでも不思議なことに悲しみは込み上げてくる。
体が残されたままということは、現実世界にはもう帰れないということなのかと思ったが、センターで手続きを行えば死体を外に出すことができると、マイケルが言っていた。
「ねえー。何やってるの?」
背後から聞こえてくる無邪気な声。
振り向くと、俺たちの前にはピノキオが立っていた。
首を傾げながら、指を軽く口に当てている。
木で出来た人形が動く姿は、何とも言えない不思議な感じがする。
すっかり忘れかけていたが、ピノキオを人間にするのがこのクエストの目的だ。
「お祈りをしていたんだ。どうしたんだ?」
牧師のノートンが低い声ながら優しい口調で質問をすると、ピノキオは無邪気に笑いながら答えた。
「これから学校に行くんだ! でも、道がわからなくなっちゃった!」
ピノキオの手には、教科書が持たれている。
すると、ノートンはピノキオの側まで行きこう言った。
「私が一緒に学校までついて行ってあげよう」
ノートンが目で合図を送ってくると、ピノキオと一緒に歩き出した。
ピノキオの後ろ姿は、わくわくしているのが伝わってくる。
「じゃあ、俺たちは生き残ったメンバーの確認をしよう」
マイケルの提案により、俺たちはクエストメンバーのリストを作ることにした。
全部で11人。
残ったのは8人。
リストはマイケルが名前を確認していたこともあり、すぐに完成した。
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