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なかなか眠りにつくことが出来ない。
自然とリーダーになっているマイケルと、騎士のような格好をしたビクトリアの安否が心配だ。
また、朝になって石の柱に張りつけにされているなんてことはないだろうか?
全員で見張りをした方がよかったんじゃないだろうか?
そんな疑問が頭に浮かぶ。
夜通しで見張るんだ。
それじゃあ体力が持たない。
『大丈夫。他の者の実力は高いんだ。あのビクトリアも相当な使い手だ』
ああ。今日はもう寝……。
不意に気配を感じて、窓に視線をやると、一瞬だけ影が見えて誰かが俺の部屋の前を横切ったような気がした。
今、誰かが通った?
俺はベッドから起き上がり、静かに窓を開けて首を廊下に出して確認する。
すると、宿舎から離れていく一人の後ろ姿が見えた。
あれは……。
マイケルたちが見張りをしているゼペットさんの家がある大通りとは、逆の方角に歩いていく後ろ姿。
一直線に続いた道の先。
街を出ると、そこには深い森が広がる。
時刻は深夜。もう見張り以外は、他のプレイヤーは寝ているはずだ。
こんな夜中に何しに行くんだ?
俺が見たのは……。
縁の長い黒い帽子を深く被り、ドレスを身に纏った気味の悪い奴。
ジャネットだった。
ジャネットは道を静かに歩き、森の方角へ足を進めていく。
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