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五分後、俺はノートンさんの亡骸を背負い、マイケルが居る場所へ戻った。
まだノートンさんの体は、死人とは思えないほど温かい。
戻ったのは、ビクトリアが瀕死状態で横たわってた場所。
そこには意外な光景があった。
ビクトリアを、透き通るような白さの半球体の膜が覆っている。
その膜の外側に、マイケルが腕組みをして立っていた。
さらに、そこから少し離れた場所で、建物の壁際にはジャネットとアドモアが立っている。
膜の中には、横たわるビクトリア以外にもう一人入っていた。
地面に正座で座り、白衣を着てマスクをした人物。
ガーネットだった。
俺は屋根から飛び降りて、マイケルの真横に降り立った。
間を置かずに、マイケルは俺の姿を見ながら驚いた顔で口を開く。
「和也!」
マイケルの視線は、背負っているノートンさんに向いていた。
「おい! その牧師、死んだのか!」
後ろから聞こえてくる特徴のある怒鳴り声。
俺は思わず俯きながら、皆に聞こえるように言った。
「はい……」
「くそう! 何なんだ! 次から次へと!」
アドモアは怒りの感情をぶちまけるように、苛立ちながら金棒を地面に叩きつけた。
「静かにしてください。今は手術中です」
そんな中、白い膜の中で座るガーネットが珍しく厳しい口調で反応した。
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