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その日は、さすがの俺様でも眠ることすら出来なかった。
マイケルの死をビクトリアに告げた時はかなりびっくりしていたが、俺たちと同じく何よりもリーダーがいなくなったことに不安を覚えたみたいだった。
「ちきしょう」
この言葉を何度繰り返しただろうか。
今夜の見張りは、とりあえずゼペットの家の屋根に集合することになったが、仕切り屋がいなくなったことで全体の統一感が崩れたのは否めない。
今は少しでも人手が欲しいところだが、ビクトリアはまだ動けない状況だ。
これまでに敵は、最大で三方向から攻めてきたが、次は四方向から来るかもしれない。
現状で動けるのは四人。
そうなれば、全員がばらばらになって戦わなければならねえんだ。
「くそっ。くそっ」
そのうちのどれかに、黒い影が来たらどうする。
それが、もしも俺様のところだったら?
「──!」
俺様は何か気配を感じて、瞬時にベッドから立ち上がり金棒を持って構えた。
部屋の外に異様な気配がした。
「誰だ!?」
気配というよりは明らかに殺気だったような気がする。
だからこそ、金棒を持って構えたんだ。
しかし、次の瞬間、目を疑う光景が映し出された。
「──あ?」
俺様は、金棒を握り締めた。
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