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「よし! ここが勝負だ」
もやし野郎がそう呟いて、刀を鞘から引き抜いた。
その途端、白い煙が奴の体を中心に立ち込める。
あの見かけにしては、覇気があり、勇ましさを感じた。
「先に行く」
ジャネットは、自分の見張っていた方角に走り始めた。
く、くそ。
正気かよ。ばらばらになって戦うのが作戦なのかよ。
俺様もやるしかねえよな。
背負っていた金棒を取り、脂汗を拭ってから俺様は強く握り締めた。
「あっ! アドモアさんはちょっと」
隣の屋根に飛び移ろうとした俺様を、もやし野郎が呼び止めてきた。
「なんだよ」
「アドモアさんはここに残ってください」
もやし野郎は、気が狂ったのかと思うほどの言葉を発した。
「は? 残る?」
「はい。大丈夫です。敵は俺達で絶対に何とかしますから」
さすがの俺様も動揺した。
「それでいいのかよ?」
確かに、俺様だけ戦わないないですむなら生存確率はグンと上がる。
何で俺様だけ、この場に残るんだ?
当然ながらそんな疑問が浮かんでくるが、本当にこの場に残っていいのなら出来ればそうしたいため、俺様は質問を飲み込んだ。
もしかして、もやし野郎は熊から助けてもらったお礼をしようとしているのか?
この状況なら、かなりありがたいぜ。
結局、俺様はゼペットの家の屋根に残ることになり、他の三人は戦いに出た。
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