犯人の存在

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全身が戦慄した。 その言葉から放たれたのは、人間の奥底に隠れた殺意そのものだったからだ。 ブラックアウトを長くやっているプレイヤーなら、自分が死にそうな修羅場に追いやられたことはどんなに優れた者でも一度や、二度はあるはず。 日常生活の中で例えるなら、自分が大変なミスを犯したことに気づく全身にさーっとした冷たいものが走る血の気が引く感じと似ている。 そんな感覚が全身を支配した。 ヤバイ。 俺様は瞬時にビクトリアから手を放して、距離をとった。 距離をとれたことにすら、奇跡を感じる。 それほどまでに、今の瞬間はやばかった。 殺されていてもおかしくはないほど、冷たい殺気が全身を包み込み、俺様が隙を作っちまった。 殺されなかったことが不思議なくらいに。 だが、何故? 何故、奴からそんなことを感じた? 頭の中が混乱している。 ほんの10秒前は、敵から二人で逃げ出すことを俺様は考えていたはずだ。 「誰でも修羅場を潜り抜けたことはある……」 奴の口から、俺様が考えていることが放たれた気がした。 見覚えのない冷たい景色。 ビクトリアは口をパクパクと動かして、俺様は黙っていた。 「そうだ。修羅場を潜り抜けたからこそ、今、この場に立っている」 「一体、何……なんだ?」 俺様は、渇いた喉からやっとその言葉を絞り出した。 「ククククク」 ビクトリアは腹を抱えて笑っているように見えた。 「何なんだよ」 俺様が再びそう質問をした時、ビクトリアが顔を上げた。 視線が交わる。
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