444人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
街中だぞ……。あんなのが、この街で暴れたら……。
その時、ジャネットが動き出す。
踏み出した前足。
足裏は地面を踏まずに、空中で止まる。
そこにはあるはずのない段差を踏み登ると、ジャネットは階段を駆け上がるように一気に空中を走った。
熊の時も見たが、空中を歩く能力だ……。
岩の姿をしたビクトリアの視線は、自然とジャネットを追って見上げるような体勢になる。
ジャネットの全身から禍々しさを醸し出した黒い命力が放たれる。
「今なら貴様も小さく見える!」
ビクトリアは、そんなジャネットを見ながら笑うように言った。
ジャネットからは、動揺の気配が見られない。
ただ目の前に阻む敵を倒すが如く、ビクトリアの真上を目指して空中を駆ける。
ビクトリアの真上まで到達したジャネットの体は、足場が無くなったみたいに一気に下降した。
黒い命力が解き放たれ、それが全てジャネットの右腕に集まる。
着地するジャネット。
ビクトリアは反応できているのかできていないのかわからないが、自身の懐に侵入を許した。
ジャネットは右腕に灯した黒い命力の塊を、ビクトリアの胴体に向けて掌底を繰り出す。
一瞬のことだった。
ジャネットの命力が直撃する寸前、ビクトリアが大きく腕を振り上げる。
すると、切り裂くような凄まじい風が巻き起こり、鈍い音と共にジャネットの体を吹き飛ばした。
最初のコメントを投稿しよう!