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砂塵が巻き起こり、凄まじい轟音が響き渡る。
「うわっ!」
突風のような風が正面から吹き荒れ、何かを破壊する音やぶつかり合う音など辺り一帯が激しく荒れる。
十数秒後、激しく舞った砂埃が徐々におさまりはじめた。
ジャネットとビクトリアが立っていた位置に、自然と意識を集中する。
「なっ!」
そこには、想像もしていなかった意外な光景が待っていた。
爆発的な黒い命力を放ち攻撃を行ったはずのジャネットが、ビクトリアから数メートル離れた場所で片膝をついている。
逆に、攻撃を喰らったはずのビクトリアは元の場所に立ったまま、拳を握り片腕を前に突き出していた。
「あー、こんな攻撃を受けたのは初めてだったから、ちょっとびっくりしたけど、あまり大したことはなかったな」
ビクトリアは岩で作られた太い腕を降ろして、首を傾げながら肩を回した。
岩が細やかに動く様子は不気味としか言い様がなく、その姿からは人間味を感じることはできない。
ジャネットは立ち上がり、地面に向かって口の中に溜まった血を吐き出した。
近くに立って同じく見守るマイケルが、その様子を見ながら口を開いた。
「攻撃を防がれた上に、何発か殴られたんだ」
あの黒い命力を防いだ?
それだけでもありえない。
それでもジャネットの背中は、取り乱すことなくいつもと変わらず静かだった。
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