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「そんなのは仮説にしかすぎない!」
やっと話したビクトリアの一言だった。
「そう。それらは全て仮説にしかすぎません」
それでも、ガーネットは落ち着いた様子で語る。
「でも、私があなたを疑い始めたのは、ノートンさんが死亡した時です。ノートンさんは始め背後から致命傷を負っていた。それは、埋葬する時に私が確認しました。さらに、ビクトリアさんが怪我をしたのは、おそらくノートンさんによるものでしょう。手術をした時に薄々とそんな気がしました」
な、何だと。
ビクトリアの怪我はノートンによるもの?
じゃあ、あの爆発的な命力はノートンがビクトリアに向けたものだったのか?
でも、おかしいだろ。
「じゃあ、何でこいつを治療したんだ?」
俺様は思わずガーネットに質問をした。
それに対しても考えてあったのか、ガーネットはすぐに答え始める。
「このクエストのクリア条件に、自白が含まれていたとしたら? 例えば、盗賊の親玉を操る者を暴かなければいけないとか。万が一、殺人者がわからぬまま殺人者が死んでしまった場合は全員がクリアの道を閉ざされてゲームオーバーになってしまう可能性も少なからずあるかと思ったからです」
そこまで考えていたのかよ……。
確かにありえない話ではない。
万が一とはいえ、ビクトリアが黙ったまま死ねばクリアが閉ざされてしまうってのは絶対にあり得ない話じゃない。
俺様は気になることが次々に湧いてきた。
クエストが始まった直後から盗賊は現れた。
ビクトリアは、運営側の一員だからそんなことが出来るのか?
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