446人が本棚に入れています
本棚に追加
「それでもまだ確信は得られない。だからこそ、犯人を見破らなきゃいけない前提で、確信的な証拠を得るために私たちを死んだと思わせたんです」
そうだ。これまでの話はこの女の妄想だと言い逃れすることが出来るが、さっきのビクトリアの反応は言い逃れすることが出来ない。
俺様を出しにしたことは許せねえが、この際、仕方ない。
そう言えば……。
「ジャネットは、何でビクトリアの犯行だってわからなかったんだ?」
俺様の次なる疑問に、ジャネットが答えた。
「あまり答えたくはないんだが……。弱点を教えることになるからな……。まあ、いいだろう」
涼しげな雰囲気でジャネットは話し続ける。
「確かに、数百メートル先までの体内エネルギーを感知することが可能だが、私はおおよその位置しか把握することができない。そこに命力があるかないかだけだ。つまり、宿舎内に新しい敵が侵入してくれば気づけるが、そこで何をしているかはわからない」
なるほど……。俺様が想像していたよりは、精細に欠ける能力なのか……。
身の回りに誰がいるかはだいたい把握できるが、動きまではわからないってことだろう。
すると、ガーネットは追い討ちをかけるようにビクトリアに言った。
「おそらく……ビクトリアさんが隠れて人を殺していたのは、そっちのクエストクリアの条件に入っているんだと思います。例えば、殺す際に他のプレイヤーにバレてはならないとか……。そろそろ話してくれませんか?」
全員の視線がビクトリアに集まる。
その場に居る全員が、ビクトリアの口から放たれる言葉を待っていた。
最初のコメントを投稿しよう!